老人保健健康増進等事業・外国人介護人材の受入れ実態等に関する調査報告書によると、介護事業所の約半数(52.8%)が外国人介護職員に「なるべく長く働いてほしい」と考えており、職場や地域への定着を願う事業所が多いです。また、外国人介護職員に期待する役割は、「外国人介護職員を指導する役割を担ってほしい」が68.0%、「施設・事業所に定着するロールモデルになってほしい」が65.4%おり、事業所の外国人介護職員に対する期待は高まっています。

外国人介護士に長く働いてもらうために、施設側でできることをまとめました。

 

国によって、生活習慣や文化の違いがあること、相互理解に努める

日本と外国では、国民性、価値観、宗教等に違いがあります。それぞれの外国人介護士の育った環境が日本人とは異なることを前提に、違いをよく認識して相互理解に努めることが必要です。日本人のように、「空気を読む」と言った習慣がある国は少ないと考えて、コミュニケーションの場を設けながら、日本でのルールをある程度理解してもらい、それに従って仕事を進めていくことが大切です。

採用時に宗教について尋ねるのは日本人採用と同様に禁止されていますので、宗教等の配慮は、あくまで勤務に影響する事柄を確認する形で行います。

例えば、日本人が宗教性を意識せずに行う、施設での行事(正月の初詣、クリスマス会等)のようなものに対して、参加は強要せず、日本の生活習慣の理解として見学する等、配慮した扱いをすることが必要です。

 

3ヶ月に1度の個人面談で退職率が改善

外国人介護士の現在の能力を確認し、仕事や会社に対する不安や不満を早期に見つけるには、定期的な個別面談が有効です。

個別面談では、これまで仕事で達成できたことを確認し、それに対する上司の評価を伝えます。そして、今後達成したいことを具体的に決めます。あと、不安に思っていることをヒアリングします。外国人社員に不安なことが何もなくても、上司とのコミュニケーションになり、上司への感謝や上司との信頼関係が生まれます。

 

レジャーの機会を設ける

国によっては、社員旅行が生まれてはじめての旅行という人もいます。ですから、多くの外国人介護士は、施設の社員旅行やバーベキューなどのイベントが大好きです。

そして、旅行やバーベキューに行ったら、多くの外国人介護士はそのことをSNSに投稿します。楽しそうなSNSの写真を見た母国のご家族は、安心することでしょう。

日本で楽しそうに仕事をして、職場の人ともうまくやっている、毎月仕送りもしてくれる。こういう状況だと、紹介で次の採用者が決まることもよくあります。

一般的に、外国人が日本で働きたいと思った場合、何社も応募しません。家族や友人が働いていて、良い評判を聞けば、その会社に応募し、受かったらその会社に就職するという考えが一般的です。

 

絶対に避けるべき外国人へのハラスメント

介護施設では、入居者からのハラスメントが問題になることがあります。入居者からのハラスメントについては、それがあまりにもひどいものでない限り、黙認している施設も多いと思います。ですが、外国人介護士の採用を機に、入居者からのハラスメントについてもルールや基準を設け、そのルールに逸脱するような行為があった場合の対処法についても、決めておいたほうがよいでしょう。外国人介護士にとっても、きちんとしたルールがあるなら、ここは我慢すべきだ、これは上司に報告すべきだという基準が分かり、ストレスも軽減されます。

「日本ではこれくらい当たり前」の行為が、外国人にとってはハラスメントになってしまうこともよくあります。外国人採用を機に、お互いを尊重する心を大切にし、気持ちよく働ける職場づくりをしましょう。

絶対にやってはいけないことは、特定の国や宗教に対する持論を展開することです。外国人にとっては、自分のルーツや宗教は、自分の命、人生に等しいものであることがあるからです。

 

外国人介護士が入居者の人気者になるリスク

はじめて外国人介護士を採用した施設では、外国人介護士の一挙手一投足に、入居者全員が注目することもあります。例えば、入居者が食堂に集まって食事をとった後、後片付けをしている外国人介護士の一挙手一投足を、皆がじーっと見ていることがあります。自分が注目されているのだとプラスに考える外国人介護士もいる一方、常に注目されている状態にストレスを感じる外国人介護士もいます。

また、入居者が外国人介護士を過度に気に入り、プレゼント攻撃、現金プレゼント攻撃をしてくることもあります。こういう時のルールも教えておきましょう。例えば、入居者からのプレゼントは、かならず施設長に報告して、施設長の判断を仰ぐなどのルールです。

このように外国人介護士が施設の人気者になった時、日本人介護士からのやっかみが生じることがあります。やっかみについては、時間が解決してくれることもありますが、最初からこういう事態を想定して対策を考えておきましょう。

 


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