2019年4月からの特定技能ビザの導入以降、ミャンマーでは、日本への就労熱が日に日に高まっています。そんなミャンマーの若者に対し、日本で働くという夢の実現をサポートしている日本語学校と現地送出し機関。本稿では、現地送出し機関の担当者を取材した内容を抜粋して紹介します。

日本企業が求める実践的な育成カリキュラムを採用

最初に紹介するのは日本語学校のスカイホーム(SKY HOME)。スカイホームはミャンマーで約400名の学生が学んでいる歴史ある日本語学校です。NAT-TESTと呼ばれるアジア15か国で行われている日本語テストのミャンマー国内における運営実施受託機関でもあります。同校では、入学後1年以内に日本語能力試験のN4合格を目指した学習指導をしており、日本への留学を希望している学生には提携している日本の日本語学校への入学斡旋もしています。

スカイホームのマーケティングマネージャーであり、日本語教師でもある金子良徳氏は、「学生達に日本語だけを教えるのではなく、“仕事におけるコミュニケーションの大切さ”や“企業で働くということはどういうことか”という点について丁寧に説明しています。今後、ミャンマー人材が日本企業から求め続けられるためには、日本語能力だけでなく、働く意識の強化も必要です」と語っています。

スカイホームの校長先生、スタッフの皆さんと

『ミャンマー代表』として責任を持って働いてほしい

次に訪問したのは、ミャンマー国内に120以上ある海外企業向けの送出し機関の1つであるシルバークレーン(SILVER CRANE SERVICES CO.,LTD)。シルバークレーンのサイ社長は、ミャンマー国内の送り出し機関約300社が加入する協会において日本担当役員として活動しています。こうした事情もあり、同社では日本企業への送り出しに力を注いでいます。日本以外の国の送出し累計実績としてマレーシア8,000名、シンガポール3,000名、タイ5,000名をすでに送り込んでいます。日本へはまだ200名と少ないですが、特定技能制度が始まってからは学生からの希望者も急激に増え始めています。

多くの学生にとって、海外で働く目的は、ミャンマーにいる家族に仕送りをすることです。学生に一番人気のあるシンガポールは、高度な専門職を持つ場合には高収入なのですが、現業労働や単純労働では、かなり低収入となります。対して、高度人材、現業労働いずれも、比較的高い水準の収入が得られるのは日本だけのようです。また、安心して生活できる治安の良さも魅力になっています。

また、シルバークレーンでは、介護職の人材育成にも注力しています。介護職を希望する学生はヤンゴン市から少し離れたところにあるボランティア施設で介護実習を行います。ミャンマーでは、数世代に渡る家族同居が当たり前であるため、高齢者に対する介護は日常の生活に馴染んでおり、負担に感じることは少ないようです。また、日本の介護現場は、諸外国と比べて、比較的清潔で機能的であるため、日本で介護職として働くことには抵抗が少ないのではないかと感じました。

シルバークレーンで日本語講師として働き、日本企業側との調整も担当するミャッチー氏は「日本では、介護する時、可能な限り自律を促します。つまり何でもかんでもやってあげるのではなく、自分でできることは自分でという考え方です。ですが、ミャンマーでは、やってあげるという概念が強いです。この違いについては、学生達によく教えるようにしています。また、日本で働くことになった場合、後輩達のためにもしっかりと実績を作ってほしいと指導しています。今ミャンマー人材が注目されているのは今までの先輩方が実績を作ることで出来たこと。問題を起こせばすぐにその信頼がなくなる。単に自分一人が行くのではなく『ミャンマーの顔』『ミャンマー代表』として行くという意識を持つよう常に伝えています」と真剣に語っていました。

シルバークレーンのスタッフの皆さんと

 

ミャンマー人材がかけがえのない存在になる日

今回取材をした2つの機関ともに共通しているのは、日本に対しただ単に労働力を送り出すのではなく、日本のニーズを調査し、日本の現場で必要とされる人材を育てていくということと、日本で働くという意識面の教育を重視している点です。

今回ご紹介したような理念を持った日本語学校や送出し機関が増え続け、受け入れる日本企業もそれに応える誠実な対応をしていけば、ミャンマー人材がこれからの日本にとってかけがえのない存在になる日はそう遠くないと感じる視察となりました。

 


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